世の中のあらゆる健康法には必ず「呼吸法」というものがついてきます。
ヨガ、ピラティス、瞑想、ラジオ体操、太極拳、などなど、どんなものであれ最初から最後まで呼吸を大切にします。
こんな興味深い話があります。
私たち生物の寿命というのは、すべて、死ぬまでに打つ心拍の数や、死ぬまでに繰り返す呼吸の数が決まっているのだそうです。例えば、象の寿命は5,60年ほどといわれています。対してネズミは2,3年です。
しかしながら、その生涯における心拍数や呼吸の総数はどちらも変わらないのだそうです。
そうだとすると、その寿命に長短があるのは、心拍や呼吸の間隔の長短ゆえということになりますね。
実際、ネズミの心拍と呼吸は象に比べて格段に速いそうです。
また、人間であっても例にもれず、生涯の呼吸数と心拍数はおおむね決まっているのだそうです。
それを早く消化してしまうと短命に終わるという説なのです。
この説に一理あるなと思える理由ですが、ストレスがかかると早死にするというのは一般に広く知られているところですね。では、ストレスがかかるとどうなるのかというと、心拍数や呼吸を制御する自律神経が乱れて、動悸やイライラ、不眠、食欲不振、疲れ、などが起こります。そのせいで体調を崩しやすくなり生命力の消費が激しくなって早死につながってしまうのですね。
ストレスがかかると、呼吸がゆったりになってきて、心拍数がゆっくりになる! ということはなくて、ストレスがかかるといつも、心拍数は上昇傾向になり、呼吸も短く早くなります。
そう考えると、心拍数や呼吸数が寿命に影響を与えるという説もあながち間違っていないのかなとも思います。
また、ヨガなどは呼吸を長くゆっくりにすることで寿命を延ばせると考えて構築された修養法でもあるということを聞くと、その説に重みを増します。
食べ物や運動など、健康に気を使っている人はたくさんいますが、この呼吸に気を使っているという人はあまりいませんね。かくいう私もそうです。
しかし、健康というのは線香花火みたいなもので、いくら太い芯でつながっていても、持ち方やバランスが悪いと途中でボタっと落っこちてしまいます。呼吸を整え自律神経を整えるということは、バランスをよく線香花火を持ち、最後までその火玉を落とさずに燃えつくさせることにも似ています。
いくら素晴らしい色に輝く線香花火でも、その持ち方が悪いとすぐに火玉が落ちてしまうように、いくら良いものを食べ、適切な運動をしても、自律神経のバランスを崩しては健康な身体は維持できません。
健康寿命を延ばすためにも、呼吸についてもう一度見直していきたいですね。